インタビュー

CASE

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夢へ向けて出発進行、現在は車掌として仕事を頑張る日々

白鷹町 就職 / 転職

中野 太陽(なかのたいよう)さん|山形鉄道フラワー長井線 車掌

神奈川県足柄上郡開成町出身。専門学校を卒業後、地元の旅行会社に就職したがコロナ禍で2021年に転職を決意。2022年2月から山形鉄道へ入社し、山形県白鷹町へ移住した。

■ 車窓がつないだふたつの地域

旅行会社退職まで20年以上を実家で過ごす生粋の神奈川人だった中野さん。再就職先に遠く離れた山形県を選んだきっかけは、車窓からの景色だった。もともと旅行が趣味、特に鉄道での旅が好きで、長井線には過去にも二度ほど乗ったことがあった。その時に車窓から見えた田園風景が「地元に似ている」と心に残っていたという。そんな山形の鉄道、そして旅を支えたいという思いから移住先として一歩を踏み出した。今では、やりたいことをやれているというやりがいを感じ、来てよかったと心からの笑顔で話す。

■ 壁を突破し線路は続く

山形での移住生活も1年が経過。まず驚かされたのが雪だ。地元とは段違いの積雪量で、徒歩通勤のなか滑って転ぶこともあったとか。しかし不便だと嫌になることはなかった。そうして根気強く歩き続けて2年目。最近は転ばない歩き方、自分流の足場の見極め方をマスターしたそうだ。もうひとつ移住者が気になるポイントといえば方言。はじめは散髪中、髪を切ってくれる人が話しかけてくれても正直よくわからなかった。あいまいに相槌を打っていた姿を思い出し苦笑い。それでも1年間、周囲の人が方言を抑えながら気遣って話してくれたこともあり、徐々に分かるようになってきた。移住の壁は確かに待っていた。しかしそれを越え始めた今では「自然と慣れていった」と苦労を感じさせない。雪の壁を溶かすのは根気強さ、方言の壁を超えるのは人の温かさということだろうか。

■ 夢へ向けて出発進行

現在は車掌として仕事を頑張る日々。旅行好きとして数多く鉄道に乗ってきた経験が助けになっている。車内放送をする時には、旅行会社でバス添乗員を務めた経験を活かしている。これまで歩んできた道は決して無駄にはなっていない。ありがたかったのは年齢の近い同僚が多く、すぐに打ち解けられたこと。休日は先輩たちと気ままなドライブに出かけたり、地元のおいしいラーメンを食べたりと、すっかり溶け込んでいる。次なる目標は運転士になること。車掌の仕事をこなしつつ、運転士になるため訓練に励む。理想は基本に忠実な運転、と力強く語る。熱意余って余計なことまでしてしまうのではなく、お客様の安全第一という姿勢を貫く。そんな列車を進ませる未来へのレールが、しっかりと見えているようだ。

■ 移住決断へ、ひとつめの駅

最後に、移住を考えている人へのメッセージやアドバイスは?という質問を投げかけると、少し戸惑い顔で笑う。まだ2年目、アドバイスという形にはまとめにくいのかもしれない。その代わりに、入社を決める直前のエピソードをひとつ明かしてくれた。その時期に実際に足を運び、白鷹の町を見に来たという。そして車窓からの景色だけではなく、町の様子も地元に通じるものがあると安心感が増した。この時の、肌で感じた町の空気が、決断を後押ししてくれたのかもしれない。実際に足を運んでこそ分かることもある。この体験談こそが、移住を考える後輩へ大きなメッセージになるだろう。
(R5.5月)

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