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三重県津市出身。東北芸術工科大学を卒業し、店舗デザインなどを行う県内企業に就職。退職後の2015年6月より朝日町の地域おこし協力隊としてふるさと納税やまちづくりに関わるデザイン業務に従事する。任期を終えた後も朝日町に住みながら、フリーランスのデザイナーとして活動。妻は日本画家であり、町の議会議員を務める裕子さん。
■ 山形での暮らし
【山形で暮らし始めて最初の印象を教えて下さい】
まず何より、四方に見える山々の存在感がとても強かったです。地元は海が近かったので、初めての内陸の景色は空が狭く感じました。しかし、少し高台にある芸工大のキャンパスから見える景色は抜群で、「ここでなら頑張れそう」と思えました。
実は受験会場が東京だったため、入学手続きをするまで山形を訪れたことがありませんでした。山形新幹線で東京を発つ頃は快晴だったのに、福島に入ったあたりで水墨画のような景色に一変した時は、まさに憂鬱でした。でも、いざ山形に着いてみれば、とても親切なタクシードライバーとの出会いに始まり、豊かな食文化や自然に触れ、すぐに山形が好きになりました。都会育ちではない自分にとっては馴染みやすい土地でした。
【山形市で就職後、なぜ朝日町の地域おこし協力隊になったのですか?】
大学卒業後に働いていた会社では、店舗デザインや現場施工管理、イベントの設営などに携わり、約5年間勤務しました。もう少し広告寄りのデザインに携わりたいと感じ、転職を考えていた頃に友人から朝日町の地域おこし協力隊の話を聞いたんです。
ふるさと納税に関する専属デザイナーの求人だと聞いて、自分がやりたい分野と合っているし開拓する部分が大きいかもしれないと思いました。また、朝日町のPRキャラクター「桃色ウサヒ」の生みの親である佐藤恒平さんとも大学在学中から繋がりがあったので、一緒にサポートできるのなら、よりおもしろい仕事ができそうだと思ったのも大きいです。
【移住してよかった点は、なんですか】
ほどよい距離を持って自然と接することができる環境が気に入っています。窓から見える景色も気持ちがいいですし、癒やしもあります。窮屈な感じはないですね。開放的な場所で、おいしい空気を吸って、おいしいものを食べて、気の合う方たちと楽しく時間を過ごせる。その中で生活ができていることが最高だと思っています。
【お気に入りの場所はありますか?】
椹平(くぬぎだいら)の棚田展望台です。そこから見える四季の棚田は本当に美しく、つい写真を撮りたくなります。さらに上った一本松公園からは自分が住む地区を一望でき、気分転換に最適です。
町外だと天童市の山間にある田麦野という地域です。大学2年生のとき、そこで廃校になった小学校を利用した展覧会を開催したり、地域の方と交流する活動の立ち上げに関わり、もう15年ほどのお付き合いです。近年は秋に行なわれる里山コンサートの広報物制作を担当させていただいたりしています。
【これから山形でやってみたいことはありますか?】
朝日町といえば「朝日町ワイン」があります。全国にファンがいるので、ぜひそのラベルや<パッケージなどのデザインをやってみたいですね。
あとは“未来をつくる”という意味で、教育に関わるデザインにも携わりたいと思っています。妻の作品をまとめた画集を作ることも夢のひとつです。仕事以外では、そろそろ大朝日岳登山にチャレンジしたいと思っています。
■ 移住者へのメッセージ
【移住を考えている人にアドバイスをお願いいたします】
満足度の高い移住は、良い出会いがあってこそだと思います。自分にとって必要なサポートをしてくれる方を、ぜひ移住担当者から紹介してもらってください。
事前に現地を訪れる時は、できるだけ住民ともお話しできる機会をセッティングしてもらうことをおすすめします。気になることは担当者や住民にとことん聞いて、少しでもミスマッチを防ぐことが大切だと思います。
(R5.6月)
朝日町産アケビを使ったクラフトビール「アケビアー」のポスター。ネーミング、キャッチコピー、写真、ラベル、リーフレット制作を青木さんが担当
朝日町在住の草木染金属工芸作家・牧野広大さんが主宰する「くらしの金具里山(りせん)」のロゴマークを制作
朝日町宮宿にある豊龍神社の卯年限定御朱印。
妻の裕子さんが描いた龍兎を配したデザイン。原画は神社拝殿に奉納されいる。
朝日町椹平(くぬぎだいら)の棚田風景