15
東京都品川区出身。東北芸術工科大学卒業。日本画を専攻し、同大学院の博士課程の単位を取得している。学生時代から作家として活動をしており、東京や宮城などで個展を開催。2017年に朝日町で地域おこし協力隊をしていた青木亮太さんと結婚を機に山形市から朝日町に移住。2019年に朝日町の町議会議員に出馬し、町で初めての女性議会議員に。2023年4月に二期目も当選し、作家活動をしながら二足のわらじで活躍する。
■ 山形での暮らし
【山形で暮らし始めて最初の印象を教えて下さい】
山形はさくらんぼのイメージがあるぐらいで、ほぼ前情報を持っていなくて。アパートを探すタイミングで初めて山形に来ました。そのときに東北芸術工科大学から山形市内の風景を見て、なんて素晴らしいところに立っているんだって思いました。浪人時代は、鬱屈した狭いビル内にある予備校で絵を描いていたので、芸工大の雰囲気はすごく気持ちよかったんです。ここなら「頑張れる」って思えました。アパートの大家さんも優しくしてくださって、山形での暮らしにワクワクしたのを覚えています。
【芸工大を卒業された後も山形を離れなかったのは、なぜですか?】
入学当初は4年で東京に戻ろうと思っていたのですが、もっと山形で自分の力をつけてその先を考えようと思い、博士課程まで在学しました。山形での暮らしが長くなるほど、戻る理由を感じなくなったのもあります。
描いている絵も、山形の自然や生き物を題材にするように変わり、東京に戻って同じように描けるのか、描いているものに対して真実味が欠けてしまうのではないかと思うようになり、山形に残ることを決めました。
【朝日町に住み始めたきっかけを教えて下さい。】
2018年に夫との結婚を機に住み始めました。でもそれ以前から朝日町には縁があり、何度か展示をさせていただいたんです。朝日町に来るとすごく癒やされるのを感じていました。
作家活動はシビアな世界でもあるので、ストレスを抱えるときも。絵を続けられないと思ってしまったときに助けてもらった部分は大きいです。夫とは大学の同級生。ちょうど彼が朝日町で地域おこし協力隊をしている時期に再会し、交際期間を経て結婚することになりました。
【お気に入りの場所はありますか?】
朝日町では、Asahi自然観の上から見る景色が好きです。椹(くぬぎ)平(だいら)の棚田もいいですね。山形市に住んでいるときには、そこまで都会と環境の違いはないように思っていましたが、朝日町に来て「THE 山形」という雰囲気を感じています。あとは気分転換をするときに肘折温泉に行っています。人もお湯も最高です。ひたすら癒やされに行っていますね。
【町議会議員に立候補した理由を教えて下さい。】
朝日町が本当に大好きだからです。でも、このまま人口が減っていくと、現状を保っていくことは難しくなります。すぐやらなくてはいけないことは、町の未来を担う若い人への支援だと考えました。それには若者当事者である議員が必要なのではないかと思い、立候補を決意しました。女性の議員もこれまで一人も存在していませんでした。
町の将来における何かを決める、その意思決定の場は議会です。そこで発言できなければ何かを変えることは難しいです。“子育てするなら朝日町”を実現するのであれば、時代性と実情に合った子育て環境を整えることが必要です。町民と行政の信頼関係がしっかり構築され、「この町に住み続けたい」と思ってもらえるような活動がしたいと思っています。
■ 今後のこと
【これから山形でやってみたいことはありますか?】
町議会議員として、山形を若い人が住みやすい場所にしていきたいです。これからの時代を支える若者が活き活きと暮らしていける社会を作ることは、必ず全世代へ還元されます。まずは足元の朝日町から若者視点、移住者視点、女性視点で、様々な提案を行なっていけたらと思います。
そして、議員活動によって見聞を広めることは、画業にも深みをもたらせてくれます。一期目を終えて、漸く仕事のリズムも掴めてきたので、山形県内外での作品発表の機会を増やしていきたいです。政治と画業、どちらの活動もしっかり行なうことで、少しでも心豊かな社会づくりへと貢献していければと考えています。
■ 移住者へのメッセージ
【これから移住したいと考えている人にアドバイスをお願いいたします】
新たな土地で生活を始めるのであれば、その地区のルールや文化を知ろうとする歩み寄りが必要だと思います。とくに地方ではルールに沿って住民の方々が協力しあって暮らしていることが多いので、それを理解しようとする気持ちは大切だと思います。「知らないから」と言って、突然やってきた人が自分のルールで暮らし始めては周りの人だって戸惑ってしまいます。地元の方々に色んなことを教えていただきながら親しくなっていくこともあります。移住することは、すごくエネルギーがいること。気持ちよく生活するためにも、周りへの歩み寄りや、すり合わせをしようとする姿勢は大切だと思います。(R5.6月)
朝日町名産の“りんご”の1年をモチーフにした作品
青木(山口)ご夫妻
朝日町議会議員の様子